旬の新豆!千葉半立の焙煎の魅力や特徴を解説
国内落花生は8割が千葉県で作られていて、とくに八街市が一大生産地として知られています。落花生の新豆は保存が効かないため、購入したらすぐに茹でることが鮮度を保つポイントです。千葉半立など焙煎用として栽培されている落花生は、煎ることにより、旬の新豆の味がより引き立ちます。この記事では、新豆落花生の生産地や食べ方、焙煎の魅力についてお伝えします。
国内落花生の一大生産地は千葉県八街市
落花生の新豆は、9月から11月頃に収穫の時期を迎えます。旬のおいしさを味わえるのは、国内産の生落花生のみです。国内落花生のおよそ8割は千葉県産で、その多くが北部の八街市で栽培されています。毎年9月には、八街駅周辺でやちまた落花生まつりが開催されるほど、落花生を大切にしている地域です。八街市の土壌は火山灰土の場所が多く、川が少なく乾燥しやすいのが特徴です。普通の農作物には厳しい環境ですが、落花生は乾いた土壌を好むため、八街市での栽培が盛んになりました。一方、ほかの地域では単価の高い農作物の栽培へとシフトしたため、落花生作りが行われなくなったようです。
国内での落花生作りは1871年にはじまりましたが、千葉県でも徐々に生産量が減少しています。農家の高齢化により、生産者が減っていることが主な要因です。近年は安い海外産の落花生が多く輸入されていますが、加工品として利用される機会が多いため、甘みはあまり強くありません。一方、日本では旬の新豆をそのまま食べる人が多いので、国内落花生は甘みを持っているのが特徴です。国内落花生にはさまざまな品種があり、主に茹で用と煎り用に分かれています。茹で用の新豆は生のままで販売され、煎り用のお豆は乾燥後に販売されています。
旬の新豆は早めに茹でるのがポイント
千葉県では、落花生掘りを体験できる場所もあり、新鮮な旬の生落花生を入手できます。ただし、生落花生は保存期間が短いため、生産地の近くでしか出回りません。オンラインでの販売も少ないため、旬の時期に直接現地で購入する必要があります。新豆の落花生を購入したら、生のものは早めに茹でることが重要です。生落花生は成熟前に収穫されているため、水分をたっぷり含んでいてやわらかく、腐りやすい特性を持っています。無処理のままにしておくと、1週間程度で鮮度がなくなるので注意が必要です。
新豆の茹で方にはいくつかポイントがあります。落花生は土のなかで育つお豆なので、茹でる前に泥をしっかりと洗い流します。次に、水1リットルに対して大さじ2杯から3杯の塩を加えたたっぷりの塩水で茹でます。固さを確認しながら約30分間熱を加えますが、落とし蓋を使うことが均一に茹で上げるポイントです。茹で終わったあとも水を流さずにつけておけば、適度に塩味が染み込み、おいしい新豆の茹で落花生ができあがります。
茹で落花生の保存期間は冷蔵で2日から3日と短いため、冷凍保存をおすすめします。水気をしっかりと拭き取ってから冷凍すると、サヤ付きでも殻剥きでも1ヶ月ほど保存可能です。ただしサヤ付き落花生は、殻の内側に霜がつく可能性があるため、早めに食べきるようにしましょう。市販されている茹で落花生も、冷凍や真空パックされたレトルト商品が多く、数ヶ月間にわたって新豆の風味を楽しめるよう工夫されています。オンラインで購入すれば、旬の時期からずれていても新豆の味を堪能できます。
旬の新豆を使った焙煎落花生の魅力
千葉半立など焙煎用に作られた新豆は、茹で用のものより旬が遅めです。焙煎することにより、新豆の甘みや香ばしさがより引き立つようになります。伝統的な職人技によって、店オリジナルの味を提供しており、サヤの有無によって味や食べ方が異なります。
⚪︎プロの技術による安定した焙煎
プロの焙煎は、長年の経験と技術が詰まっており、均一でムラなく仕上げられるのが特徴です。温度や時間を細かく調整しながら行うため、失敗のリスクが低く、安定した味を提供できます。家庭でも落花生の焙煎を楽しむことは可能です。オーブンやフライパンを使って焼き上げるだけなので、工程自体は簡単で、自分好みの煎り具合に調整できるのがメリットです。ただし、時間や温度の調整が難しく、焼きムラができたり焦がしてしまったりする場合があるでしょう。家での焙煎で理想の味を作り出すには、何度か挑戦する必要があり、簡単な作業ではありません。プロは素材の目利きにも優れています。落花生の形やサイズを見て、高品質な新豆かどうかを正確に判断できるため、最高の素材を使って焙煎作業を行えます。また仕入れたお豆の状態に合わせた焙煎方法を知っているため、プロの技により、新豆のおいしさを最大限に引き出せます。
⚪︎お店ごとに異なるこだわりの焙煎具合
焙煎方法はお店ごとに違うので、オリジナルの味わいを楽しめます。職人の経験や好みに応じた時間や温度で焙煎を行い、新豆のうまみを引き出した商品作りを行っています。たとえば、浅煎りは短い焙煎時間と低めの温度で仕上げるため、食感がやわらかく、落花生の甘みが強く残るのが特徴です。とくに旬の新豆は、香りがより豊かに感じられます。熱に弱い栄養素も失われにくいのも嬉しいポイントです。焙煎時間が短いため、色は黄色く、見た目もやさしい印象の落花生ができあがります。一方で、深煎りは長時間高温で焙煎されるため、香ばしさやほろ苦さが強く、甘みは控えめです。濃い茶色の色合いで、カリッとした歯ごたえが食欲をそそります。深い味わいで、ビールやコーヒーと合わせて食べる大人向けの煎り方です。両者の中間に位置するのが中煎りで、甘みと香ばしさのバランスがとれています。クセが少ないため親しみやすく、お豆に馴染みの薄い人にも好まれる味です。やわらかさとカリッと感が融合し、新豆落花生の絶妙な食感を味わえます。
⚪︎サヤの有無による味や食べ方の違い
落花生の焙煎は、サヤ付きのまま行う場合と、殻を剥いて行う場合があります。両方を販売しているお店であれば、それぞれの味わいや食べ方の違いを楽しめるでしょう。サヤ付きの落花生は殻があることにより、実が保護されて、酸化がおさえられます。新豆特有のフレッシュな風味を保持しやすいため、落花生本来のうまみを存分に味わえます。殻を割るときの手触りや音を楽しみながら食べられるのも、ひとつの醍醐味です。白い殻がついていると見栄えも良く、ギフトとしても選ばれる機会が多いお豆です。一方で、殻を剥いた落花生はピーナッツとも呼ばれていて、直接実の焙煎を行います。火が直に伝わるため、新豆の香ばしさが強くなり、サクサクした食感を楽しめます。殻を割る必要がないため、子どもでも手軽に食べやすいお豆です。さらに、焙煎後にさまざまな味付けを行うことで、落花生を使ったオリジナルの豆菓子が完成します。たとえば、キャラメルや黒糖でコーティングすれば甘さが増し、味噌や香辛料を使うと甘じょっぱさやスパイシーさを加えられます。味付けの工夫により、新豆の甘みをいかしたおいしい豆菓子を作れるのも、殻剥き落花生の魅力です。
落花生の王様と呼ばれる千葉半立の特徴
千葉半立は、千葉県産の落花生のなかでも評価が高い最高級の品種です。煎ったあとの甘さと香ばしさのバランスが絶妙で、落花生の王様とも呼ばれるほどのおいしさで知られています。千葉県内で最も栽培面積が広い千葉半立ですが、横に広がる性質があるため、畑一面に植えられる株数がほかの品種よりも少なくなります。同じ面積での収穫量が少なく、広大な土地が必要になるため、栽培を続ける農家が減少しているのが現状です。栽培面積の減少に伴い、新豆の収穫量も減っています。さらに、千葉半立は天候や病気の影響で収穫が難しい年もあるため、希少性の高さから幻の豆とも呼ばれています。収穫量が毎年変動するため、供給が安定せず、ほかの落花生よりも価格が高くなりやすいお豆です。
千葉半立の収穫時期は、10月下旬から11月上旬頃です。11月中旬頃から旬の新豆が市場に出回りますが、種まきの時期によっては12月になることもあります。落花生の花が咲いてから収穫まで約100日かかり、長く土のなかで熟成された分だけ、うまみが凝縮されているのが千葉半立の特徴です。ただし、冬に近づくと天候の影響による被害のリスクが高まります。収穫が早すぎると味が薄くなり、乾燥時間が少ないと旬のうまみが十分に引き出されない原因になります。栽培環境を見ても、千葉半立は収穫までたどり着くのが難しい落花生です。
お豆のピープルの新豆落花生
お豆のピープルでは、10月中旬頃から新豆のフレッシュな落花生を使用した商品を販売しています。収穫期が早い中手豊という品種を主に使用しており、さっぱりとした甘みがあり、食べやすいお豆です。サヤは白っぽく斑点が少ないため、見た目も美しく、贈り物としても活用いただけます。旬の味を楽しめる秋から冬の季節は、落花生をギフトとするのに最適な時期です。食塩を使った味付けはせず、新豆の味を最も感じられる素煎りの落花生を販売しています。当店は電気焙煎で、ガスでの焙煎と比較すると新豆をふっくらと仕上げられます。国内でも数少ない電気焙煎で、日本に数台しかない貴重な機械を使用しています。
焙煎の温度調整にもこだわりがあり、はじめは高温で焙煎し、豆の状態や音を確認しながら徐々に温度を下げていく手法を採用しています。長年の経験があってこそ実現できる伝統的な技術です。落花生の煎り具合は中煎りで、香ばしさと甘みのバランスがとれた仕上がりになるように、何度も確認作業を重ねて丁寧に焙煎を行っています。
まとめ
新豆の落花生を購入した後は、なるべく早めに茹でることが大切です。茹でた後は冷凍保存すれば、旬の味を長く楽しめます。新豆の落花生は焙煎の度合いによって、甘みや香ばしさのバランスが変わることも魅力のひとつです。職人によって焙煎された新豆であれば、よりお豆の魅力が引き出された味わいを楽しめます。お店ごとの焙煎方法や味付けなどを堪能しながら、好みの味を見つけて旬の新豆をおいしく味わいましょう。