落花生は保存次第で風味を長く保てる!冷凍お豆の正しい解凍法も
落花生は、生のままだと3日程度しか日持ちしない繊細なお豆です。お豆の収穫後に十分な乾燥処理を行うことで、長期間保存できるようになります。家での保存方法も落花生の加工状況によって違い、おいしさを保つためには正しい方法での保存が大切です。この記事では、家庭での落花生の保存方法や冷凍落花生の正しい解凍方法についてご紹介します。
収穫した落花生の保存方法
落花生の保存期間をのばすためには、収穫後に適切な処理を行う必要があります。落花生農家では効果的な方法を実践することで、お豆の品質を落とさずに保存を行っています。収穫直後の生落花生は水分が多く含まれているため、非常に腐敗しやすく、加工せずにそのまま保存すると消費期限は約3日程度とされています。高温を避けて、できるだけ低温環境にお豆を置く必要があるため冷蔵での保存が最適です。
生落花生の短い保存期間をのばすために、農家では乾燥処理を行っています。はじめに、畑で1週間程度かけて天日干しをするのが地干しという作業です。落花生は土の中で育ちますが、乾燥工程ではお豆に土がつかないように株を畑の上でひっくり返します。地干し後は、株ごと円筒状に積み上げて風通しのよい場所に置くぼっち乾燥を行います。ぼっち乾燥をすることにより、約1ヶ月かけてゆっくりと水分が飛ばされ、お豆の甘さやコクが引き出されるのがポイントです。株からお豆をとる脱莢は、乾燥後に行います。ただし畑で行う乾燥方法は、天候不順や動物による食害のリスクが高い方法です。
最近ではぼっち乾燥の代わりとして、落花生にトンネル状のビニールを被せる方法や、脱莢後にビニールハウス内で扇風機を使用して乾燥させる方法も導入されています。ビニールを活用した乾燥方法を取り入れることで、天候に左右されにくくなるため、カビの発生が抑制され、安定した収穫量を確保できます。来年用の種として生落花生を保存する場合は、乾燥後に必ず冷蔵しましょう。冷凍すると内部の細胞が破壊され、発芽能力を失ってしまうため避ける必要があります。落花生の保存にはさまざまな方法と工夫が施されており、農家は安定した品質と量のお豆を出荷するために努力を重ねています。
家庭における落花生の保存方法
落花生は畑だけでなく家での保存をしっかり行うことで、風味を長く保てます。袋詰めの商品は量が多い場合もあるので、小分けにするのもおすすめです。購入した落花生の加工状況に合わせて、最適な保存方法を選びましょう。
⚪︎生落花生の保存方法
生落花生は、冷蔵での保存期間が短いため、茹でてから保存するのがポイントです。茹で方は、まず落花生をよく洗って泥や汚れを落とし、3%の食塩水に入れます。沸騰後は蓋をして弱火で30分ほど煮込みますが、やわらかめが好みの場合は1時間程度加熱しましょう。火を止めた後に10分程度置いておくと、お豆に塩味がしっかりしみ込みホクホク感が増すので、味見をしながら好みの塩加減になるよう調整します。圧力鍋を使用するときは、圧力がかかってから10分程度茹でて火を止めるのが最適なタイミングです。茹でている間、常に様子を見る必要がないため便利な方法です。
茹で上がったら冷まして低温にし、水気をしっかりと拭き取ることが重要です。保存は冷蔵か冷凍で行います。冷蔵での保存期間は約1週間と短いため、食べる分だけ取っておくのがよいでしょう。残りは冷凍保存すれば、最低でも1ヶ月はおいしく食べられます。茹でた後の殻は非常にやわらかく、簡単に剥くことが可能です。保存前に殻を剥いておけばすぐに調理に使用できます。また小分けにして冷凍しておけば、必要な分だけ解凍して食べられるのでおすすめです。
⚪︎乾燥落花生の保存方法
乾燥落花生は出荷前に乾燥処理が充分行われているため、水分がほとんど残っておらず、腐る心配が比較的少ないお豆です。しかし、落花生は高温に弱い性質があり、栽培中にも極端な高温環境にさらされると、中身のない空実ができてしまうことがあります。収穫後も高温環境に置くと酸化が進み、お豆の味や風味が損なわれる原因になるでしょう。落花生は脂質が多いため、酸化した油を摂取することになり体にもよくありません。
品質を保ちながら保存するポイントは、お豆を冷暗所に置くことです。酸化は空気との接触も要因のひとつになるため、チャック付きの袋に入れるのが効果的です。落花生は湿気に弱いので、冷蔵する場合は湿度の高い野菜室は避けましょう。殻付きでも殻むきでも、冷蔵または冷凍保存が可能です。また落花生は匂いを吸収しやすいので、強い香りの食品と一緒に保存するのは避けてください。冷蔵庫内に脱臭剤や珪藻土を入れておくと、匂いや湿気を吸収してくれます。乾燥落花生は冷蔵で半年~1年程度、冷凍なら1年以上は保存できます。
⚪︎煎り落花生の保存方法
乾燥した落花生は煎ることで香ばしさが増し、カリカリとした食感を楽しめます。煎り落花生は家庭でも簡単に作れ、フライパンを使う場合は弱火で10~15分程度かき混ぜながら炒めます。オーブンがあれば150℃30分加熱すれば、お店のような香ばしい風味の煎り落花生を楽しめるでしょう。塩をまぶして味付けしてから保存することもできます。煎り落花生も乾燥させたお豆と同様、湿気や高温に弱く酸化しやすいので、冷蔵か冷凍での保存がおすすめです。
常温保存も可能ですが、袋に乾燥剤や脱酸素剤を入れておけば湿気や酸化を防げるので安心です。油で揚げた落花生や、豆菓子などの加工品も同様の方法で保存を行えます。湿気てしまったお豆は、電子レンジで温めるとカリッとした食感を復活させられます。未開封の煎り落花生は常温で約2~3ヶ月保存できますが、手作りや開封済みのお豆は1ヶ月以内に食べきりましょう。煎り落花生は冷蔵で約3~4ヶ月、冷凍なら半年~1年程度保存できるお豆です。
⚪︎ピーナッツバターの保存方法
煎った落花生を砕いてサラダ油や砂糖と混ぜれば、家庭でも簡単にピーナッツバターを作ることができます。砕いた粒の大きさによって食感も変化するので、好みに合わせて調整できるのも手作りの魅力です。ピーナッツバターの食べ方は、パンやサンドイッチに塗ることが多いですが、お菓子に入れると風味付けになります。カレーやスープに加えれば、クリーミーさとコクが増して、隠し味としても使える食品です。
市販の未開封商品を保存できる期間は、常温で半年~1年程度です。手作りのお豆や開封済みの商品は常温で約1ヶ月、冷蔵で2~3ヶ月程度保存できます。ピーナッツバターの常温保存が可能なのは、しっかりと乾燥して水分を飛ばした落花生を使用しているためです。
ピーナッツバターは水に弱いので、容器から取り出す際はスプーンに水気がついていないか確認しましょう。夏場は常温保存が危険な場合もあるので、冷蔵庫に入れるのがおすすめです。低温で保存すると固まったり、油とお豆部分が分離したりする場合があります。常温に戻してかき混ぜれば解消され、品質には影響ありません。ピーナッツバターは1回の使用量が少ないため、小分けにして冷凍すれば期限切れを防ぎやすくなります。冷凍する際はアイスキューブトレイを利用すると、少量ずつ保存できて便利です。
冷凍落花生の正しい解凍方法
冷凍落花生は便利な保存方法であり、常温保存可能なレトルトタイプのお豆も、1度に食べきれないときは冷凍することで長期間品質を保てます。お豆の加工方法に合わせて解凍すれば、お豆のおいしさが損なわれにくくなります。生落花生の場合、凍ったまま調理に使用するのがおすすめです。解凍すると酵素反応が起こりやすく、色の変化や実の弾力の低下、ドリップの発生による風味の損失が生じる可能性があるためです。凍ったまま焼いたり茹でたりすることで、栄養分を逃さず簡単にお豆を調理できます。
乾燥落花生や煎り落花生の解凍方法は、自然解凍と湯煎、電子レンジの3種類です。時間に余裕があるときは、解凍前の風味を保てる自然解凍がおすすめです。薄皮付きの落花生を冷凍した場合、解凍時に皮がむけやすくなります。栄養豊富な薄皮はなるべく残しておきたいので、自然解凍してから開封するとよいでしょう。冷蔵庫で3~4時間、気温の高い季節は常温で2~3時間あれば自然解凍されます。急ぐ場合は流水解凍で時間を短縮しましょう。
湯煎解凍は、沸騰したお湯にお豆を2分つければ完了します。落花生の変色や食感の変化が比較的少なく、全体を均一に温められるため解凍ムラが起こりにくい方法です。ただし加熱時間を超過すると、水溶性ビタミンやカリウムなどの栄養素が溶け出す可能性があるので注意が必要です。最も手早い方法は電子レンジによる解凍で、ラップをして500Wで1~2分加熱します。ラップをかければ水分と塩味が保たれますが、30秒ずつ調整しながら加熱するのが安全です。電子レンジ解凍はほかの方法と比べて水分が失われやすく、落花生の食感や色味の変化が顕著になることがあります。元々風味豊かな落花生であれば、味の変化が気になりやすいでしょう。
お豆のピープルの落花生
お豆のピープルでは、サヤ付きと殻剥き落花生の2種類を販売しています。上質な豆を自社でセレクトし、じっくり時間をかけて焙煎を行っているのが特徴です。オリジナルの焙煎処理を施しているため、未開封の状態であれば常温で製造日から2ヶ月間保存が可能です。開封後は冷蔵庫で保存しておけば、湿気を防ぎやすくなります。容量はサヤ付きが350g、殻むきが300gまでの大きさを用意しています。短期間で食べきれないときは、冷凍を活用すれば落花生の旨みが保たれ、長期間にわたっておいしいお豆を味わえます。
まとめ
落花生は冷蔵や冷凍することによって、1年近く保存できるお豆です。低温で長期保存するときは、湿気や酸化を防ぐためになるべく密閉した状態を保つことが大切です。小分けで冷凍しておけば、簡単に適量を解凍して食べられます。家でもお豆を正しい方法で保存して旬の時期だけではなく、1年中風味豊かな落花生を楽しみましょう。